事業環境認識と、當社グループの経営戦略
「グローバルなリスク分散」と「グローバルなグループ一體経営」を主軸に
これまでの常識や過去の成功體験が通用しない不連続な時代において、私たちが直面する課題は複雑さを極めています。國內では、臺風、雪害、地震、感染癥の影響が継続。また海外では、東アジアにおける北朝鮮の脅威、米中対立の拡大、ロシアによるウクライナへの侵攻など、地政學?地経學リスクはますます増大しています。これらの様々な事象が絡み合い、世界ではエネルギー安全保障やサプライチェーンの分斷など、ナショナルセキュリティーに関わる問題やコストインフレーションが引き起こされ、それを受けた中央銀行が急ピッチな利上げ対応を行うなど、マーケットのボラティリティも高まっています。
今や當社はグローバルに事業を展開しており、世界のどこかで何が起こっても、それは當社にとっても他人事ではありません。逆に言えば、何かが起こることを前提に経営?事業を行っていくことが大切であり、そのための一丁目一番地の戦略が「グローバルなリスク分散」です。具體的には、20年前から政策株式の売卻を通じてリスクを削減し、創出した資本と資金を用いて海外M&Aを実行。國內損保とは相関の低い海外保険リスクとの入替えを行ってきました。また、貯蓄性商品の売り止めやヘッジ比率の拡大を通じ、アペタイトのない金利リスクの削減にも努めてきました。こうして當社グループは世界中のリスクに真正面から立ち向かえる強い、分散された事業ポートフォリオを構築し、利益と資本のボラティリティを抑えながら企業価値を高めるよう取組んできました。この成果は実績としても現れており、2018年度と2019年度に発生した國內の大規模な自然災害や、2020年からの新型コロナウイルス感染癥(COVID-19)の拡大という過酷な狀況においても、當社利益へのインパクトを2~3割程度に抑えることができています。また、まだ全體をはっきりさせることは時期尚早かもしれませんが、ロシア?ウクライナ関連の當社ビジネスに與える影響も限定的だと考えています。しかし私は、この2~3割というインパクトはまだ大きいと考えていますし、現狀に満足しておりません。更にグローバルなリスク分散やリスク削減を進めていきたい、そしてその余地はまだあると考えています。
一方、リスク分散を拡大するために相関の低い事業を展開すればするほど、一般的にはコングロマリット?ディスカウントというイシューが出てくることも事実です。実際に海外IRの場でも、一部の機関投資家から、「リスク分散は自分(投資家)自身が様々な保険會社株式に投資をすることで実現可能であり、保険會社に実行してもらう必要はない。むしろ、特定の事業に経営資源を集中させて経営効率を高めてほしい」という問いかけもありました。これに対する當社グループの見解は、「グループ各社が各地域で斷トツの支持を得て強いスタンドアロンとなることは勿論、シナジーも拡大していくことで、むしろ、コングロマリット?プレミアムを実現できる」というもの。機関投資家の皆様にはIR説明會や1on1の対話の場を通じて、こうしたメッセージを発信させていただいており、相応に理解を得ることができているものと考えています。そして當社は、グループ各社にこの考えを伝えることで、スタンドアロン価値の更なる向上を図るとともに、シナジーの更なる加速に繋げていくよう取組みを進めてきています。
「グローバルなリスク分散」に加え、「グローバルなグループ一體経営」も當社グループ経営における特徴のひとつです。當社グループは6年という時間をかけて、獨自の経営態勢を構築してきました。具體的には、グローバル保険會社として、経営の意思決定は日本人だけで行うものではないという考えのもと、経営の重要事項はグローバルな知見を結集して決定、実行する、というものです。
2022年度は、共同CIO(Chief Investment Officer)兼DFGのCEOであるDonald Shermanと、Co-Head of International Business兼共同CRSO(Chief Retention Strategy Officer)のChristopher Williamsを新たに副社長に據え、海外や保険引受、資産運用に留まらない參畫と活躍を求めることとしました。彼らと日本人C-suite、そして私を加えたメンバーが、週に2回程度グループ全體の主要課題について議論を交わしています。もはや日本人だけで意思決定を行うことはありませんし、経営戦略のレベルを上げ、意思決定のスピードも加速していきたい。歐米一辺倒でも日本一辺倒でもない、“絶妙の中庸”が當社グループのめざす「グループ一體経営」であり、このメンバーならば、他のどこにも負けないグローバル保険會社として、更なる成長を果たすことができると確信しています。
各種戦略を著実に実行した結果として、新たなステージへ
社會課題解決と當社の利益成長の両立をめざす“創業以來のサステナビリティ経営”をベースに、「グローバルなリスク分散」や「グローバルなグループ一體経営」、そして現中期経営計畫で取組んでいる各種戦略を著実に実行してきた成果が現れてきていると感じています。実際に、中計初年度となる2021年度の修正純利益は、自然災害が平年よりも少なかったといった追い風もありましたが、國內外での好調な保険引受利益をドライバーに、過去最高となる5,783億円となりました。一過性の要素を除いたNormalizedベースでも5,054億円と、2017年にマイルストーンとして設定した中長期ターゲット5,000億円を突破、2022年度も期初計畫で5,500億円としています。修正ROEも2021年度Actualで14.4%、Normalizedベースで12.7%、2022年度も12.5%を計畫しており、中長期ターゲットとして掲げた12%を達成しています。正に當社は、次の成長をめざすことができる新しいステージ、これまでとは明らかに違う場所に立っており、そのうえで2022年度は大変重要な年であると認識しています。
また、次のマイルストーンについては、今の當社の立ち位置から見える風景に照らして虛心坦懐に考えている段階ではありますが、現時點で確実にお伝えできるのは、「社會課題の更なる増大が見込まれる中、當社グループはもっともっとお客様や地域社會の“いざ”を支えていかなければならない」ということです。そして、その結果はEPS Growthとして現れます。足元當社のEPSは、ボラティリティを抑えながら世界トップクラスの成長を実現できている訳ですが、今後も、少なくとも現中計期間中は世界トップクラスの水準として、Organic Growthだけで+5%程度と、しっかりとデルタを出していきたいと考えています。他方、修正ROEについては、過去から引き上げてきてはいるものの、未だPeers対比では劣後していると認識しています。ROEにつきましては利益成長を第一に、政策株式の一層の削減にも取り組み、分母である純資産も適切にコントロールしていくことでROEの向上に繋げていきたいと考えています。


- ※EPS:分子の利益は當社は修正純利益、ピアは各社KPI利益 ボラティリティ: 変動係數 ピア: Allianz、AXA、Chubb、Zurich
(出典)各社公表資料、Bloomberg
すでにある“いざ”も、これからの“いざ”も支える
変化に対応すべく、リスクリテラシーを高める
今後に向けては、まず、當社がリテインする幾重もの世界有數のアドバイザーの意見も聞きながら、リスクリテラシーを高めることに注力していきます。前述のように変化が激しく、また新たな社會課題が次々と生じる中では、個人?企業?社會が認識する「リスク」そのものが変容していきます。新たなリスクや増大するリスクの引き受け手が必要とされる中にあって、當社グループはお客様や地域社會の期待に応え続ける企業でなければなりません。グループ全體のマーケットインテリジェンス機能や広くインテリジェンス機能を更に強化し、迅速?的確に判斷?決斷できる能力を高める。そして、自らを変化に適応させるとともに、自らが変化を生み出していくことに挑戦していきます。
會社には、存在価値が決まる“moment of truth”、すなわち「真実の瞬間」があります。VUCAの時代、當社グループの存在意義が改めて強く問われる中で、當社グループにおける「真実の瞬間」とは、「お客様や地域社會の“いざ”をお守りする」ことにあります。これは1879年の創業以來の私たちのパーパスであり、まだESGという言葉が存在しなかった時代から、社會課題の解決に貢獻することで持続的な成長を実現してきた當社グループの存在意義そのものです。
リスクの語源であるラテン語の「risicare」は、「(何かが起こる可能性を覚悟の上で)勇気をもって試みる」ことを意味します。人類の歴史は、これまで生きてきた一人ひとりの勇気と挑戦が積み重なり、今に続いています。私たちは保険會社として、いつの時代も人々の挑戦を後押しできる存在でありたい、そして、私たち自身が社會課題の解決に挑戦し続けることで、人類の発展と社會のレジリエンスを高めることに貢獻する存在であり続けたい。これが私の考える保険會社の姿です。
人類史上最大の“いざ”、気候変動に真正面から立ち向かう
全人類の未來にとって現在の最優先事項は、気候変動への対応です。直近1年間だけでも、米國南部と中部で起きた一連のトルネード、12カ國以上に被害を及ぼした歐州の洪水、フィリピンに上陸したスーパー臺風、ネパールやインドの複數の州で生じた鉄砲水、南アフリカの洪水など、気候変動に端を発すると言われる大規模自然災害は枚挙にいとまがなく、経済活動や安定した生活に多大な影響を及ぼしています。
大規模な自然災害は、當社グループのP/Lのみならず、B/Sにも影響を與える可能性があります。しかし、ステークホルダーとの約束は何があっても守り切ります。そのために當社は財務の健全性を高めていく必要がある訳ですが、大切なことは、資本効率とのバランスです。単純に資本を積み上げて健全性を高めることは容易ですが、「グローバルなリスク分散」を通じて、事業の質を高め、有事の際に資本の回復力を高める努力、すなわちROEを高める努力を継続することこそが、あらゆるステークホルダーに価値を提供し続けていく観點からもレジリエントだと考えます。
また、自然災害大國日本において恒常的な赤字狀態にある火災保険の収益改善も待ったなしの課題です。株主の皆様から大切な資本をお預かりしている以上、全體では黒字だからと、どんぶり勘定は許されません。過去、當社グループは國內自動車保険の収益性に苦しんだ時代がありましたが、現在のコンバインド?レシオは90%臺前半と、良好な収益水準を維持できています。勿論自動車保険と火災保険とで違うこともありますが、こうした課題解決の経験や実績を火災保険にも活かし、必ずや恒常的な赤字狀態から脫卻させることで、自然災害大國日本にとって、とても大事な火災保険をサステナブルなものとしていく所存です。
そして、保険會社としては、気候変動を更なる成長に向けた機會と捉えることも必要と考えています。例えば、再生可能エネルギー。脫炭素化に向けた切り札とされている再生可能エネルギーは今後大きな発展が見込まれていますが、その普及にあたって保険は欠かせません。しかし、再生可能エネルギー事業のリスクは、従來型の発電所やエネルギー事業とは異なりますし、風力、水力、バイオマス、地熱、波力など、その種類によって事故の傾向も異なりますので、再生可能エネルギー関連の保険を取扱うためにはこれまでにない極めて高度なアンダーライティング力と損害サービス力が必要になります。そこで、當社は、2020年5月に世界の再エネ市場の保険引受をリードするGCubeを買収。適正な保険料算出やリスクセレクションを可能にする膨大なロスデータを獲得したことで、今や當社は業界隨一の引受キャパシティを有しています。また、再生可能エネルギー分野に特化した損害アジャスターもグループに迎え、お客様のリスク軽減に向けて専門的なアドバイスも提供することができるようになりました。今後も、レーティングモデルの高度化や、GCubeと他のグループ會社のシナジー拡大に取り組み、高い専門性を要する再エネ保険ビジネスを通じて世界の脫炭素化に貢獻しながら、同時に當社の成長も実現していきます。
この他にも、プロテクションギャップといいますが、気候変動リスクに対して保険でカバーできている割合はまだまだ少ないという現実もありますし、気候変動リスクの増大を背景とした防災?減災ニーズは高まっており、ここを成長の機會としてしっかりと取込んでまいります。
自然災害の多い日本をオリジンとして成長してきた當社グループには、世界屈指と自負する保険引受のノウハウがあります。世界共通の、人類史的課題とも言われるこの領域で社會のお役に立ち続け、自然災害のリスクに対してレジリエントな世界を創る。そしてその結果を、當社グループの成長に繋げる。こうした想いのもと、業界のリーディングカンパニーとして、當社グループの総力を挙げて、自然災害?気候変動対策に真正面から取組む決意です。
他方、気候変動という課題は、1人或いは1社だけで解決できるものではありません。當社グループ獨自の取組みは當然どんどん進めていく訳ですが、業界?世界と連攜し、同じ方向に歩みを進めた先に、初めて次世代の輝かしい未來が見えてくる。そう信じて、當社はグローバルなイニシアティブであるNet-Zero Insurance Alliance(NZIA)に日本で初めて參畫し、保険業界として、どのように気候変動に立ち向かっていくかという議論をスタートさせました。資源に乏しい日本の代表として汗もかき、主張すべきは主張しますし、単なるダイベストメントだけではなくエンゲージメントも通じて、脫炭素化社會をめざしていきます。
Good Companyをめざし、重要資本に投資
當社グループが100年後も皆様から信頼され、真に必要とされる良い會社“Good Company”であるためには、強みである「“いざ”を支え、“いつも”支える力」「ポートフォリオマネジメント力」「グローバルなグループ一體経営」に磨きをかけ、経営の質を高め続けることが不可欠です。そのために必要なことは、「知的資本」と「人的資本」の活用?投資です。これは不確実な環境の中で更に成長するためのキーサクセスファクターであり、私が就任時より申し上げてきた、“しなやかでたくましい會社”のベースとなるものです。
デジタル技術と保有データ、M&AとPMIの実行力を活用し、事業領域を拡大
當社グループの「知的資本」、それは保険事業で蓄積してきたデジタル技術と保有データ、そしてM&AとPMIの実行力です。これらを徹底的に活用、或いは投資し強化することで、伝統的な保険事業の力を高めながら、事業領域の拡大をめざします。多様なパートナーと協働し、進化を更に加速させていきます。
その実現に向け、2021年7月、グループのDigital Capabilityを結集した「東京海上ディーアール」を設立しました。當社グループが有する事故やリスクデータを集約?解析し、R&Dとイノベーションを推進します。また2020年には、自然言語処理や深層學習技術に知見のあるPKSHA Technologyと共同で、「AlgoNaut社」を設立しました。社名にはギリシア神話で黃金の羊毛を求めアルゴー船に乗り込む英雄たち「Argonaut」と「Algorithm」を掛け合わせた造語を用い、社會課題に対してアルゴリズムを活用したデジタルリスクソリューションを提供するという意志を込めています。更に、「防災?減災」「ヘルスケア」「サイバー」「モビリテ?!工胜?、當社グループが特に価値を提供できる分野において、スタートアップを含む様々な外部パートナーとともに領域の拡大にも取組んでいます?!阜罏?減災」領域では、業界の垣根を超えた防災コンソーシアム“CORE”を當社グループ主導で立ち上げました。災害リスクデータや研究成果を活用し、官民一體となって強靭な社會を構築するとともに、新たなビジネス機會を創出していきます。また、「サイバー」領域では米國Guidewire社とともにサイバーリスクの定量評価を行い、お客様のCyber Defenseの引上げに貢獻を、「ヘルスケア」領域ではがんの早期検知や糖尿病の重癥化予防を、「モビリテ?!诡I域では事故予兆サービスなどを進めています。10年後には、既存事業と並び立つ収益の柱とできる様に、具體的には數百億円の利益を実現できる様に、しっかりと育てていきたいと考えています。
社會課題は、今後も人類の発展とともに増加していくでしょう。それらの課題解決に向け、當社グループは「知的資本」への投資を惜しみません。2022年4月に米國にて始動したコーポレート?ベンチャーキャピタルファンドを含め、これまでに數百億円規模の投資を実行しており、デジタル人材育成への投資も年間1億円を超えています。今後も積極的な投資を実行していきます。
パーパスの浸透とD&I推進により、「人的資本」を強化
私が「人的資本」を成長のキーサクセスファクターとしていることの背景には、保険という商品の性質があります。保険には形がなく、だからこそそれを扱う事業においては“人”が極めて重要な役割を持ちます。保険事業がPeople?s Businessと呼ばれる所以でもありますが、當社グループでは、この重要な「人的資本」の強化に向けて、実に様々な取組みを実行しています。その中で、CEOである私が特に重視するのは、パーパスの浸透とダイバーシティ&インクルージョン(D&I)です。
D&Iは革新的な発想のベースとなり、アイデアや仮説を含め新しい価値を創造します。そして、強みである「グローバルなグループ一體経営」の力を最大化し、ステークホルダーに対して當社グループのパーパスやコミットメントを提供し続けるエンジンとなります。私は米國コロンビア大學で客員研究員として過ごした1年間で、ダイバーシティの力を改めて理解するに至りました。留學中、多様なバックグラウンドを持つ學生や教授陣と交流し、日本で染み付いた認知バイアスを修正する機會を得たことは、多様な人材で成り立つ當社グループを経営するうえでも大きな経験となりました。D&Iは、単に會社として最低限満たさなければならない要件や規定ではありません。むしろ「経営のど真ん中」にあるもの、成長の源泉であり、ビジネスの拠り所です。社會課題が存在するところに私たちが貢獻できる領域があるという意識を持ち、異なる文化、経験、バックグラウンドを持つ人々がアイデアを出し合い、解決に向けたイノベーションを生み出すことが、當社グループの成長戦略の土臺となるのです?,F段階では、當社グループのD&I推進は道半ばだと認識しています。そこで2021年、経営層から擔當者クラスまで、多様な人材で構成されるダイバーシティカウンシルを立ち上げるとともに、CDIO(Chief Diversity & Inclusion Officer)を新設しました。今後は、世界基準を意識したダイバーシティ全般についての取組みを加速させていきます。
そしていつ何時も何よりも大事なことがパーパスの浸透です。COVID-19の影響により、私たちは公私にわたり様々な制約を課されましたし、多かれ少なかれみんなが傷つきました。しかしどのような狀況であろうとも、全グループ會社がパーパスで繋がり、各地域で新しい価値創出をめざすことに変わりはありません。私は経営トップとして、またCCO(Chief Culture Officer)として、4萬人を超える世界中の社員が持てる力を最大限発揮できるよう、東京海上グループをOne Teamに結び付けるパーパス浸透に、本気で取組んでいます。例えば、グループを率いる経営人材に対しては、コロナ禍においてもコミュニケーションを絶やさないようリモートも使いつつ1on1の対話を続けています。また、世界中のCEOが集うミーティングの場でもパーパスを語り、意思統一を図っています。社員については、毎年カルチャー&バリューサーベイを実施し、多様な人材のエンゲージメントの理解に努めるとともに、私を含む経営メンバーが「マジきら會」などを通じてパーパスの浸透を図っています。コロナ禍にあっても社員のエンゲージメントスコアが向上したことには勇気づけられる思いでした。一方で、真に新しい価値や考え方を育むには、実際に會い、共に時間を過ごす五感を使ったコミュニケーションが重要だとも感じています。コロナの狀況は予斷を許しませんが、感染対策をしっかり実施することを大前提に、できれば畫面越しではなく、現地に赴いて経営陣や社員とゆっくりと語り合いたい、その様に考え、実行しています。こうしてあらゆるコミュニケーションを活用しながら、一人ひとりの行動から経営判斷に至るまでパーパスが浸透している、強い一體感のある企業グループを作っていく所存です。
終わりに
東日本大震災発生時、當時の社長は、「未曾有の事態だから通常の発想を捨て、お困りのお客様のために約2カ月で震災対応に目途をつける」と、當時は無謀とも思える決斷をしました。日本全國から延べ1萬人を超える社員が被災地に集まるとともに、事務所に殘った社員もそれぞれの役割を果たし、過去に倣えば1年ほどかかったであろう18萬件超のお支払いに約2カ月で目途をつけました。一人ひとりが本気でパーパスを信じ、行動すれば、圧倒的な仕事ができることを私たちはすでに體現しています。
當社グループが仕事をすればするほど、社會がよくなる。社會がよくなればなるほど、當社も更に成長する。そうした筋金の入ったサステナビリティ経営をめざしてきたつもりでありますし、今後もそうありたいと考えます。
常に新しい社會課題を探し出し、お客様や社會に獨自ソリューションを提供し、未來世代を含む様々なステークホルダーへの価値を創出する。その結果として、世界トップクラスの保険會社に求められる成長を実現する。それが當社グループの“Endless Journey”です。100年後も、全てのステークホルダーにとってなくてはならない存在であり続けます。